クロージング・タイム

寒い。ベランダにしゃがみ込んでいる。うんこ座りやからうんこしたくなってきた。紫煙目で追ったら、中途半端に欠けた月に目が留まる。
ゲバラ日記、トルストイの人生論、ゲーテ詩集、萩原朔太郎ジャック・ケルアックライ麦畑でつかまえて、とか、本むっちゃ買ったな今日。格好付け、自愛。
梅田うろうろしてたら、汚いおっさんに声をかけられた。歩道橋の上、被爆者のために鶴折ってくれませんか言うて。折れません言うたら、教えます言うたから折るだけ折って去ろうと思ったら、被爆者詩集みたいなん買わされそうなる。300円、値段より結局売りつけんのかと腹が立って、断ったら話が長い。流ちょうやねんけどなんか嫌になる口調で、かといってキレる勇気も無く。あ、あいつが言うてたな、北朝鮮の原爆ほんま日本危ないで、守ってくれるはずのアメリカも力がなくなってて、オレ早よこの国から逃げたいもん、みたいな話。めっちゃ話の途中割って入って経済の話まくし立てて、タジタジにしたろう思って、言うたけど、所詮聞きかじりの付け焼刃、結局おっさん喋り続けてるし。こんな可哀想なおっさんにも言い合いみたいなん負けてまうんかと思った。なんか貧乏神つけられた気がする。別に何か信仰してるわけでもないのに気の弱い人は何かしらそういう象徴めいたもんに結構敏感やったりする。オレとか、通り抜け鉛筆合格発表の前日に机から落として、ああ、落ちたわってなってた。受かってたけど。貧乏神つけられたんちゃうかとかチラと思たこととかのせいか、今日主なこと何あったやろうって考えたら文学いっぱい買ったんとそのおっさん、って思って、なんか、ああ、って、黄色だけ溶けてた水に黒一滴、気になる気になる。いつもの解決策、作品にしてしまえば良い。アウトプットと言う作業は悪いものを中からついでに出してくれる、作品言うか、サラリと文章にしたらそれで十分。

ビートニクに憧れる。腹が減ったら飯を食えばいいんだけど、お金なくていつも腹空かしてウロウロウロウロ、気持ちが荒めば小説を書けば良い、こっちはありがたい事に数セントもかからない。ジャック・ケルアックチャールズ・ブコウスキー、J・D・サリンジャー、憧れる。「憧れた時点でそれにはなれないけど、至近距離まで近づけるよ」いいね、それ。
格好付け過ぎやな死ぬまで。詩集ばっかり持ってたらオカンにロマンチストやなって言われた。ものつくるんやったらええけど、普通に絡むんやったらロマンチストほど鬱陶しいんはおらんねやろうな。自愛。