リリカル、あほらしい

「悪いな、そこまでいい人じゃない」
言ったくせ、やっぱり気になって手を伸ばす。くちばしから血が出ていて、その血でコンクリートに頭が張り付いている。ゆっくりはがして拾い上げたスズメは、まだ暖かかった。少し涙ぐんだ。中三のとき死んだハム太ちょっと思い出したからかな。
「ごめんな、適当で」
木のふもとに埋める。埋めた後、あ、ただ仮死状態なだけで生きてたらどうしよう、って、掘り返す。うわごめん砂だらけや。その一連の行動で、ちょっとあほらしいなって思った。悲しいなあって格好付けきってたのが少し薄れた。耳にスズメを当てる。音はしない、トラックにぶつかって内臓破裂、即死かな。
「ごめんな、適当で」
もう一回言って、埋めなおす。尻尾が出てる。ごめんな、適当で。

いい人ぶりと会話の種やな。「タルチユフ、タルチユフ」って呟きながらお家へ帰る。