前髪だけ切ってもらう

ラッキー・ストライクのソフトはフィルター近くにあるロゴが燃えるまで吸う。ラッキーを吸い込んでいるような気分になるから。川が見える。おわまりが見ている。怖い、早く去って欲しい。近くで若者が騒いでいる。絡まれたらどうしよう。怖い、早く去ってほしい。寒い。着てきた上着は毛糸で、スルスルと夜の風がすり抜ける。ブラック・ニッカきっつ、ニッニッてなる。一人で。スカイ・フィッシュなオイラには悩みなんてない。目にもとまらない。あんたらの皮膚をスルスル通り抜ける。たまに谷間にすべりこむ。デッサンやっぱやっとったらうまなんねんな、そらそうすよ、皆さん頑張ってますもんオレ頑張ってないすけど、ええねん別に頑張らんで。とっさの会話の流れ上の適当な返事でも、受験前の生徒に何言うんすか。オイラを不安にするおっさんが多い中、清四郎の「僕の好きな先生」が流れる。高田純次ばりのただの適当おやじなんかもしれんけど。
おかんからのメールが届く。
コーヒー買ってくる言うただけやろう!もう皆食べおわったで!
あらもうこんな時間。飯前に出て、二時間ぐらい経っとる。

でもまあ、もう少し遊んでたら、あの子にも、あの子にも会えるかも。んん。