ワオ!またかよ

憂欝なんてのはほんとオイラのさじ加減だぜベイベー。面倒な女はごめんだ、さあ、右頬をどうぞ。
はえーなあ、はえー。えらく皆、オイラの後ろにいたのに、凄い速さで抜かしてくから、しかもかなりの数さ。よけるよける。うまいことオイラ細くできてるからさ、170あるけど47しかないからさ、仲良く寄り添ってる奴らでも実はあるんだろ?隙間を楽に擦り抜ける。踏み越えようって言う乱暴なヤな奴も、予想以上のこの猫背には適わないさ、着地ミスって転げちまいな。
全てが報われる一瞬がオイラには必ず来ることを知っているからさ、おのずと近道が見えるのさ。だからゆるりと構えてるよ、のらりくらりと周回遅れで笑う、右頬だけ上げて。
と言うかハナからこんなレースには参加していない、ただの物好き。暇なんだ、だからたまたま近くで男女混合マラソンみたいなのやってるから、登録タダだし、参加してみた。さっきから勝敗なんかより、後ろ走ってる女の子の揺れる胸や、前を走ってる娘のお尻のラインばかり気にしてる。

サブ・カルチャーになんの救いもないぜ、陰欝なスメルは消えないし、誰も寄ってこない。カモン・ベイべー!ヘイ!あっそと、そりゃそうだと。全部知らないってことも全部知ってるってことも、全部知っているオイラが嫌いさ。死にそうになってはきちんと噛み砕く、週一のペースで擦り出す精液と一緒にくずかごへポイ。それでも人間か?そんな一人で生きる自分が嫌いさ、十代の自意識過剰の渋さしらず。扉が閉められ、去りゆくバスに立往生、そんなのにオイラの人生を暗示されてたまるか。

神頼みだけしていよう。