彼の頭の中にミニ・スカート

中から漏れた照明で手が青い、微かなオールマン・ブラザーズのバックグラウンドミュージック、飲めない酒が回ってくる。
ずれていた赤と黒のストライプ・ソックスを膝まで上げている。その手には開いた携帯電話、ちらちらと細身の膝とストライプを照らす。
「見すぎ」
ごめん
「童貞には目の毒?」
むしろ逆かな
「そうやって、いつ犯されるか」
そんな度胸は無いよ
「脳内で、よ」
知り合いじゃ抜かない
「どうだか。オナニスト
流石にまだ日が落ちたら冷える。場違いも良いとこだ、だからなれたような気がしてしまう。
気合とか根性の類だよなその丈
「火照ったのを冷やそうとして外にいるから、丁度良いし」
マフラーしてるくせに
「じゃあなんでタバコ吸う?」
自分に酔う為に
「よくむせてるくせに」
それ含めて酔ってんのさ
包茎のくせに?」
返答を考えているのも答えないのも同じで、彼女は間を見つけて嬉しそうに店に戻る。手が青いのが気になって、中の光が届かない所まで少し歩く。暗がりで、手を見て、何と無しに小学校の時保健室前の壁に貼ってあった、健康な人の肺とタバコを吸っている人の肺の見比べ写真の黒い方の肺を連想して、ああ、こっちの方がちょっとやだな、って呟いてみた。